朝ドラ「あんぱん」で、柳井千尋役を演じる中沢元紀さん

2022年に俳優デビュー。同年4月期放送の間宮祥太郎さん主演ドラマ『ナンバMG5』(フジテレビ系)で連続ドラマに初出演、翌年には『沈黙の艦隊』で映画初出演も果たします。
2023年の日曜劇場「下剋上球児」ではエースピッチャーの犬塚翔役で注目を集めました。

2024年にドラマNEXT『ひだまりが聴こえる』では小林虎之介さんとW主演。
2025年上半期のNHK 連続テレビ小説『 あんぱん』では柳井千尋役として出演中で、役者としてのステップを着実に上がり続けています。
デビューのきっかけは?
当時17歳だった中沢さんは、「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」での小栗旬さんの演技に感銘を受けて事務所に履歴書を送ったそうです。
3年程のレッスン期間を経て、20222年にデビューを果たしますが、その時期はコロナ禍でエンタメ界全体が先行きの見えない時間を過ごしていました。
ようやくデビューへと動き出した矢先、コロナ禍という苦境に立たされ、精神的にもかなり辛い期間を過ごされたそうですが、いつレッスンが再開してもいいように身体を動かしたり、ノートに今後の目標などを書いて気持ちを落ち着かせていたといいます。
オーディションで柳井千尋役に選ばれる

現在出演中の朝の連続テレビ小説「あんぱん」で演じている柳井千尋役は、オーディションで選ばれたとのことで、選考では一風変わった審査が行われたとのこと。
何とその内容は、誰もが知る「アンパンマンのマーチ」を喜怒哀楽で表現するというもの。
しかし、そこでの表現力が評価され、千尋役を手にしたそうです。
そこでの演技力が、後に名シーンと評される兄・嵩との伝説の15分間へとつながったようだとご本人は分析されています。
柳井嵩(北村匠海さん)との兄弟の絆と千尋の成長

嵩と千尋は、父親・清(二宮和也さん)と登美子(松嶋菜々子さん)の間に生まれた実の兄弟でありながら、幼少期に別々の家族で生活を送ることになりますが、時を経て、叔父の寛(竹野内豊さん)とその妻・千代子(戸田菜穂さん)の下で、再び兄弟そろって生活をすることになります。
幼少期の千尋は、病弱な体質。聡明な一面を見せながらも、嵩やのぶの後をついて回る
可愛らしい男の子という印象でした。
青年期となると、嵩よりも体格も良く、柔道を嗜み成績も優秀という文武両道な青年に成長します。人のためになりたいという想いから法律家を目指して法学の道に進むという気持ちの優しい千尋から一変、後に海軍予備軍として任務に向かうことになります。
朝ドラの中でも、これだけ印象の振幅が大きい役柄というのも少ないように思いますが、根本に持っている優しさ、不本意ながら時代や戦争によって引き起こされる運命に翻弄される青年として、当時を生きた方々を象徴するような役として描かれているのかもしれないと感じます。
朝ドラ史上屈指の名場面、”伝説の15分間”

2025年6月12日に放送された第54話では、ドラマの放送尺15分間のすべてが、北村さん演じる嵩と千尋の2人のシーンのみという異例の放送でした。
放送されたのは、法律家を目指して京都帝国大学に進学したはずの千尋が、海軍へ志願し駆逐艦の任務に就くことになったことを知り、驚きのあまり激昂する嵩との緊迫したシーン。
千尋に「弱い者の声を聞いて救うために法学の道へ進んだのではないのか」と問いただす嵩に対し、戦争が当たり前の時代でやむを得ず海軍に志願したこと、そして子どもの頃からのぶが好きだったが、結婚相手が兄なら…と身を引いたことを語ります。
さらに続けて、「わしは生きて帰れたら、もう誰にも遠慮はせん。今度こそのぶさんをつかまえる。(人妻でも)構わん!」と宣言します。
まさかの発言にあっけにとられる嵩に、次のように語るのです。
「わしもよく、伯父さんが言いよったあの言葉を思い出すがや。
何のために生まれて、何をして生きるがか。分からんまま終わるらあて、そんながは嫌じゃ。
この戦争がなかったら、わしはもっと法学の道を極めて、腹を空かせた子どもらや、虐げられた女性らを救いたかった。この戦争がなかったら、いっぺんも優しい言葉を掛けちゃれんかった母さんに親孝行したかった。
この戦争がなかったら、兄貴ともっと何べんも、酒を飲んで語り合いたかった。
この戦争さえなかったら、愛する国のために死ぬより、わしは愛する人のために生きたい!」
まっすぐな眼差しで自分の想いを口にする千尋。
嵩は「必ず生きて帰ってこい。」、そういって強く抱きしめます。
所属事務所社長・小栗旬さんも監修?名場面撮影の裏側

この朝ドラ屈指の名場面となったこのシーンの撮影には、中沢さんが所属する事務所の社長である小栗旬さんも見学に訪れたそうです。
現場に姿を見せた小栗さんに緊張する気持ちもあったそうですが、ご本人は「いいところを見せよう!」と前向きな姿勢で取り組めたそうです。撮影終了後には、「良かったよ」と演技を誉めてもらえたそうです。
また、北村匠海さんは「リハでは千尋が大号泣していた。でも、本番では涙が出なかった。本人にとっては不本意かもしれないが、海軍の人間だったら人前で涙を見せないんじゃないかというようにも解釈できて、より気持ちが伝わってきた。とてもいいお芝居だった。」と語っています。

あんぱん、千尋は今後も出演?

第54話以降、千尋に関する情報は出ていませんが、朝ドラファンの中ではもはや定説となりつつある、NHKの朝の情報番組「あさイチ」にゲスト出演をした後は、ドラマで演じた役柄が不幸な結末を迎えるというジンクス。
6月13日に放送されたあさイチに中沢さんが出演したことで、ファンの間では一気に不安の声が広がりました。果たして、本当に千尋はこのまま退場となってしまうのでしょうか…?
作中では、「いってまいります。」という言葉で敬礼をした青年に対し、”お国のために戻ってこない覚悟をもつ人間は「いってきます。」と敬礼すべきだ”と諫められる場面がありました。嵩の出発のシーンでは、「いってまいります」だったのに対し、千尋は「いきます」という言葉で別れを告げました。
前述のような予兆もあったり、やなせたかしさんの実の弟さんは太平洋戦争で戦死をされているという史実も。ただしドラマでは実際と異なる展開にすることも珍しくはないので、希望を持って行く先を見守りましょう。
【関連リンク】人生はよろこばせごっこ/やなせたかし展
中沢元紀さんの今後の出演作について
中沢さんは、2025年7月期放送のドラマ『最後の鑑定人』(さいごのかんていにん)への出演が決まっています。
同作は、岩井圭也による小説が原作。2022年7月29日にKADOKAWAから単行本が刊行され、2025年6月17日に角川文庫から文庫本が刊行された人気作です。
中沢さんは、捜査一課の刑事・都丸勇人(とまる ゆうと)役を演じます。
捜査一課のやる気あふれる刑事・都丸勇人(とまる・ゆうと)を演じる。刑事に憧れて神奈川県警に入庁した若手で、上司の三浦に土門と捜査現場の橋渡し役を命じられる。土門のとっつきにくく何を考えているのかわからない様子に翻弄されイライラしつつも、依頼を引き受けてもらえるよう説得する。
今回の役柄について、中沢さんはこのように語っています。
◆中沢元紀
「ずっと刑事役に挑戦したい気持ちが強くあったので、今回お話しをいただけて素直にうれしかったです。土門先生に振り回されながらも、若手刑事らしく熱い気持ちをもって事件解決を目指していこうと思います」
待望かつ初の刑事役ということで、ご本人も気合が入っているようですね。
どのような作品、役柄になっていくのか今から楽しみです!
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