
「KinKi Kids」という概念
2024年11月、「KinKi Kids」がグループ名を「DOMOTO」へと改めるという発表がなされ、音楽業界・芸能界のみならず、長年支えてきたファンの間にも大きな驚きと反響を呼びました。1997年のCDデビュー以来、変わることなく使用されてきた「KinKi Kids」という名前には、二人の歴史と絆、そして日本のポップカルチャーそのものが刻まれていました。
そんな“ブランド”とも呼べる名称からの改名には、表現者としての成熟、新たな挑戦、そして今の自分たちをより正確に表すための意志が込められています。
本稿では、これまでの活動やメディアでの発言、改名に至るまでの流れ、そして関係者・ファンの声をもとに、「KinKi Kids」から「DOMOTO」への歩みを丁寧に振り返ります。
KinKi Kidsという名前に込められていたもの
堂本光一さん・剛さんはともに1979年生まれ、奈良県出身。ジャニーズ事務所に入所後、1993年に「KinKi Kids」としてユニットを組み、1997年にはシングル「硝子の少年」で鮮烈なCDデビューを飾りました。デビュー曲にしてミリオンヒットを記録し、以降「フラワー」「ボクの背中には羽根がある」など、多くの楽曲が人々の記憶に残るヒット作となっています。
「KinKi Kids」というグループ名は、出身地の「近畿地方」に由来する言葉遊び的な要素を含んだネーミングであり、若さと地元への愛着が表れたものでした。当時10代だった二人にはぴったりの名前でしたが、年齢を重ねるごとに“名前と実像とのギャップ”を意識するようになっていったといいます。
ソロとしての活動も積極的に行ってきた二人ですが、「KinKi Kids」としての活動は一度も止まることなく継続されてきました。その背景には、お互いに対する深い信頼と、表現を共有する意味でのパートナーシップが存在していたことがうかがえます。
改名の兆し──近年の活動から見える変化
近年、堂本光一さんはミュージカル『Endless SHOCK』を通じて演出家・舞台人としての地位を確立し、また堂本剛さんは「ENDRECHERI」名義での音楽活動により、ファンクやソウルを軸にした強い個性を発揮してきました。
異なるフィールドで自立的に表現を追求する一方で、「KinKi Kids」としての活動では、音楽番組・冠バラエティ・年末年始のコンサートなどを継続。ソロでは見せないような独特の掛け合いや空気感を、ファンに届けてきました。
その中で、2023年のファンクラブイベントでは、光一さんが「名前を変えてもいいんじゃないか」といった発言を行い、これまでの自分たちを大切にしながらも、今の二人にふさわしい形を模索する様子がうかがえました。
改名の正式発表と、二人の言葉
2024年11月、「KinKi Kids」から「DOMOTO」へと名称変更することが正式に発表されました。「DOMOTO」は言うまでもなく、二人に共通する姓「堂本」に由来しています。
フジテレビ系『FNS歌謡祭』(2024年12月放送)では、堂本光一さんが次のように語りました。
「“KinKi Kids”って名前が嫌だったわけじゃないんです。でも僕たちはもう“キッズ”ではないし、この名前が今の自分たちの表現を正しく映すものではないと感じるようになってきたんです。剛とも、もっと今の自分たちに正直でいられる名前にしようと、何度も話し合ってきました」
また、堂本剛さんはこう述べています。
「名前を変えることには勇気もいりましたし、ファンの皆さんの気持ちも考えました。でも、名前が変わることで、より自由に音楽や表現に取り組める気がしています。変わるのは“名称”であって、“関係”ではありません」
このコメントからは、「DOMOTO」という名義が、二人の信頼関係と成熟した表現意識を反映した自然な“更新”であることが伝わってきます。
ファンの声──戸惑いと納得、そして信頼
SNSやファンクラブ内では、発表直後こそ驚きの声が上がったものの、その後は多くのファンが前向きに受け止めている様子が見られました。
「寂しさはあるけれど、二人が一緒に進んでいくならそれでいい」
「“DOMOTO”って、実はすごく二人らしい。これからの物語がまた楽しみです」
「“KinKi Kids”の思い出は変わらないし、“DOMOTO”の未来にも期待してる」
「DOMOTO」という名前に、KinKi Kids時代の歴史と誇りを自然に引き継いでいるという認識をもつファンも多く、名称の変更を“喪失”ではなく“進化”と捉える見方が主流となっています。
「DOMOTO」という表現の意味
また、長年KinKi Kidsに楽曲を提供してきたミュージシャン・堂島孝平さんも、自身のSNSで次のように述べています。
「“KinKi Kids”の名前が変わることに少し驚きましたが、それ以上に“DOMOTO”という名前の潔さに感銘を受けました。彼らの音楽性や関係性がどれだけ進化してきたかを間近で見てきた身として、これは自然な流れだったのかもしれません」
堂島さんは、2000年代以降多くのKinKi Kids楽曲に関わっており、二人の信頼厚い作家の一人です。その発言からは、今回の決断が表現者としての必然だったことがうかがえます。
DOMOTO始動──新章のはじまり
これまでにKinKi Kidsとして発表された楽曲は、今後も披露される見込みで、KinKi Kids時代の代表曲も含まれており、“過去を否定せず、未来へつなげる”という姿勢が強く感じられます。
「DOMOTO」という名前は、よりパーソナルで、本質的な表現を可能にする器であり、ジャンルにとらわれない柔軟な活動が期待されます。今後は音楽のみならず、舞台やテレビなど多岐にわたる分野で新たな展開が見られることでしょう。
二人で出演しているラジオ番組、「KinKi Kidsどんなもんヤ!」では、グループ名「KinKi Kids」の改名にともなって番組名も『DOMOTOのどんなもんヤ!』に変わることが発表されました。堂本剛さんは「名前が変わっても、この番組の空気は変わらない」と語り、堂本光一さんも「俺たちの関係性に変わりはない」と続けました。
タイトルコールの変更については、「DOMOTOの」の部分だけを新録し、「どんなもんヤ!」のフレーズは1994年当時の音源をそのまま使用することが明かされ、「過去と未来をつなぐ選択」としてリスナーからも好意的に受け止められています。
変わる名前、変わらぬ絆
グループ名が「KinKi Kids」から「DOMOTO」へと変わったことで、一つの時代が終わったと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その本質は決して失われていません。
堂本光一さんと剛さんがこれまで紡いできた音楽、番組、言葉、すべての時間が今も“二人の関係性”の中に息づいています。そして、それを見守り続けてきたファンと共に歩み続ける姿勢に、変わらぬ誠実さと深い感謝の心が込められているのです。
「DOMOTO」という新しい名前には、“更新”と“継承”という二つの意味が共存しています。過去を愛し、現在を生き、未来を恐れずに表現していく。その姿勢こそが、堂本光一さん・堂本剛さんの“変わらない魅力”であり、私たちがこれからも惹かれ続ける理由なのだと思います。
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