『踊る大捜査線 N.E.W.』感想レビュー|“踊るプロジェクト”リスタートの壮大なプロローグ

約14年ぶりにスクリーンへ帰ってきた「踊る大捜査線」シリーズ。

『踊る大捜査線 N.E.W.』を観てまず感じたのは、今回の作品が単なる「新作映画」ではなく、“踊るプロジェクト”再始動を告げる、壮大なプロローグなのではないかということだった。

連続ドラマ、スペシャルドラマ、劇場版4作品、そして数々のスピンオフ作品。

これまで「踊る大捜査線」が積み重ねてきた歴史を思わせる要素が随所に散りばめられ、過去の名シーンや名セリフを彷彿とさせる演出も存分に盛り込まれている。

長年シリーズを追い続けてきたファンにとっては、「これを待っていた!」と思わせるような場面が次々と登場する、まさに“お祭り”のような幕開けだった。

冒頭からまさかの大事件!青島が東京を駆け回る

物語の幕開けは、踊る映画シリーズではおなじみともいえる大規模な事件から始まる。

元副総監・安住(演:大和田伸也)の孫が何者かに誘拐され、安住は犯人の指示に従って、街中で身代金をばらまくという目立った行動を強いられることになる。

そして、犯人の確保が目前に迫ったそのとき、現場は野次馬も入り乱れて大混乱。

そんな中、突然響き渡る声が――。

「爆弾だ!」

その声の主は、もちろん青島俊作(演:織田裕二)。

颯爽と現れた青島によって、警察に包囲されていることに気づいた犯人は、

「その男に運ばせろ。」

と指示。

人命を優先し、犯人の要求に従う青島は、身代金の入ったバッグを抱え、新宿、銀座、浅草……と東京の街を駆け回ることになる。

そんな青島がふと犯人に投げかける。

「なぜ、運び屋に俺を選んだ……?」

返ってきた答えは、

「あなたにはお世話になったので……」

この言葉から明らかになる犯人の正体。

その人物は、かつて青島と対峙した坂下始だった。

やがて青島が身代金の入ったボストンバッグを指定された場所にセットすると、バッグはドローンによって持ち去られてしまう――。

かと思いきや、警察の別部隊がこれを阻止。

その一方で、坂下も青島たちによって取り押さえられる。

誘拐されていた安住の孫も無事に保護され、一件落着……と思ったその瞬間。

告げられた言葉は、

「演習終了!!!」

そう。

ここまで描かれていた一連の出来事は、なんと警察組織による演習訓練だったのだ。

ここまでが“プロローグ”。過去作を思わせる演出が満載

ここまでが、今回の映画の冒頭を飾るプロローグパート。

それにしても、かなりスケールが大きい。

しかも、プロローグのギリギリまで「演習」であることを明かさないため、初見では本当の事件だと思った人も少なくないのではないだろうか。

ただ、これまでの「踊る大捜査線」を観てきたファンにとっては、どこかで「ひょっとして……?」と感じる部分もある。

踊る映画シリーズでは、冒頭で大きな事件が描かれ、その後に「あれ?」と思わせる展開が待っていることもおなじみ。

そのため、「今回はどうなんだろう」と予想しながら観るところまで含めて、作り手側の遊び心だったのかもしれない。

そして、このプロローグをさらに特別なものにしているのが、過去シリーズの登場人物たちの再登場だ。

魚住、緒方、木島、和久……“踊る”の歴史を彩った人物が続々登場

プロローグには、過去作品でおなじみのキャラクターが次々と姿を見せる。

魚住二郎、緒方薫、木島丈一郎、草壁中、眉田克重、和久伸次郎、王明才、栗山孝治、小池茂、桜章太郎……。

そしてもちろん、「踊る大捜査線」には欠かせないスリーアミーゴスも健在。

長年シリーズを観てきたファンにとっては、キャラクターが登場するだけで「おおっ!」となるような場面が続く。

まさに、これまでの「踊る大捜査線」が歩んできた歴史を、冒頭から一気に見せてくるような構成だ。

極めつけは神木隆之介!映画『2』の少年が大人になって再登場

そして、個人的にかなり驚かされたのが、神木隆之介さんの登場だった。

神木さんが演じるのは、劇場版第2作『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』に登場したスリ一家の息子。

当時は子役として出演していた神木さんが、今回、成長した姿で再登場する。

しかもセリフは、

「うわぁ、すっげえ、レアキャラだ……」

という一言。

出演時間こそ長くないものの、その表情を見た瞬間、「あの少年だ!」と分かる。

当時のいたいけな少年の面影を残しながら、しっかりと大人になった姿で登場するという演出は、長年のファンにとってはかなり琴線に触れるものがある。

こうした“過去と現在をつなぐ仕掛け”が、今回の『踊る大捜査線 N.E.W.』には随所に用意されている。

「過去作の振り返り」に見えるのも、今回ならでは

一方で、ここまで過去キャラクターが登場すると、

「人物紹介に時間を使いすぎでは?」

「結局、過去作の振り返りなのでは?」

「誘拐事件の設定をもっと膨らませてもよかったのでは?」

と感じる人もいるかもしれない。

確かに、プロローグだけを切り取って見れば、かなり情報量が多い。

しかし、今回の作品が約14年ぶりの「踊る大捜査線」復活作であることを考えると、この構成には大きな意味があるようにも感じる。

初めて「踊る大捜査線」に触れる人にとっては、シリーズを彩ってきた人物たちを知るための“おさらい”。

そして、これまで作品を追い続けてきたファンにとっては、「あのキャラクターが出てきた!」「この演出、懐かしい!」と楽しめるサービスカット。

つまり今回のプロローグは、**新規ファンとシリーズファン、その両方に向けた“踊る再始動の号砲”**として機能しているのではないだろうか。

『踊る大捜査線 N.E.W.』は“新作”であると同時に“歴史の続き”

今回のプロローグを観て強く感じたのは、『踊る大捜査線 N.E.W.』が、過去を切り離して始まる新作ではないということ。

連続ドラマからスペシャルドラマ、劇場版、そしてスピンオフまで。

これまでの「踊る大捜査線」が積み重ねてきたものを、あえて前面に押し出しながら、もう一度この世界をスタートさせようとしている。

その意味では、今回のプロローグは単なる“前置き”ではなく、**「踊るプロジェクト、ここから再び始まります」**という宣言にも見える。

過去作を知っている人ほど楽しめる仕掛けがありながら、シリーズを知らない人にも「この人たちは何者なんだろう?」と思わせる。

そして何より、久しぶりに青島俊作がスクリーンを駆け回る姿を見ることができる。

それだけでも、「踊る大捜査線」が帰ってきたことを実感させられる。

ここまでが、いわば“踊るプロジェクト再始動のための壮大なプロローグ”。

では、このあと本編では何が起こるのか。

次回は、いよいよ『踊る大捜査線 N.E.W.』本編の展開について、さらに詳しくレビューしていきたい。

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